こんにちは、お金に詳しい産婦人科医のDeppです。
私たちが給与を受け取ると所得税がかかります。
所得税は安くはありませんが、所得控除を使えば所得税を減らすことができます。
こんにちは、お金に詳しい産婦人科医5年目のDeppです。
ここまでお金の基本的な考え方について解説してきました。
こちらにまとめているのでよかったら読んでみてください。
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所得控除の中には医療費控除と呼ばれるものがあり、節税につなげることができます。
「節税は第一選択」なので、利用できるなら利用しない手はありません。
医療費控除の親戚にセルフメディケーション税制というものもあります。
いずれも確定申告が必要ですが、その際はどちらか一方しか利用できません。
より節税効果の高いものを選択する必要があります。
今回は
- 医療費控除とセルフメディケーション税制の違いについて
- どちらを利用するのがおすすめか
について解説していきます。
医療費控除とは
国税庁のホームページには次のように記載されています。
その年に支払った医療費が一定額を超えるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。
https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/ocat2/ocat22/cid171.html
つまり
医療費を払ったら所得税を減らすぜ!
ということです。
注意しないといけないのが控除される金額です。
医療費控除額は次のように計算されます。
医療費控除額(最高200万円)=実際に支払った医療費の合計額-(1)-(2)
(1) 保険金などで補填される金額
(2) 10万円(その年の総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)
医療費が10万円以上でないと控除されないということになります。
確かに10万円と聞くとなかなかハードルが高そうですが、しっかりと内容を理解すれば10万円を超える可能性は出てきます。
まず、医療費控除の対象になる医療費は次の通りです。
- 診療・治療
- 医薬品購入
- 介護保険サービス
- その他の医療費(通院費など)
これらにかかった費用の1月~12月の合計金額が対象になります。
診療・治療費には出産費用や歯科治療費も含まれます。
出産費用は出生育児一時金を引いた金額になるので、出生育児一時金の存在は忘れないようにしましょう。
医薬品購入費は処方された医薬品代の他に、ドラックストアで購入したスイッチOTC医薬品代も含まれます。
スイッチOTC医薬品については「セルフメディケーション税制」の項目で説明します。
これらの医療費に関しては領収書を保管しておく必要があります。
確定申告の際に領収書を提出する必要はありません。
保管期間は5年間です。
確定申告の書類と一緒に大切に保管しておきましょう。
交通費について
通院のための交通費も医療費に含めることができます。
原則として公的交通機関(電車やバス)のみが対象であり、やむを得ない場合を除いてタクシー代や自家用車のガソリン代・駐車料金は対象になりません。
領収書はなくても大丈夫ですが、いついくらかかったのかはデータとして残しておく必要があります。
次のポイントは医療費の対象者です。
国税庁のサイトにはこのように記されています。
納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/ocat2/ocat22/cid171.html
私の場合は奥さんと子供の医療費をまとめて計算しています。
必ずしも同居している必要はないので、仕送りをしている実家の両親の医療費も含んでよいということになります。
こうすればだいぶ10万円のハードルは下がりそうですね。
ここまでの内容を一回まとめてみましょう。
- 一年間の医療費が10万円を超えれば医療費控除が利用できる
- 自分だけでなく家族の医療費も合算できる
- 領収書は5年間保管する必要がある
医療費が10万円を超えるかどうかは年を越すまでわかりません。
私は家族の医療費領収書をクリアファイルにまとめるようにしています。
そこまで手間ではないので、領収書は捨てずに保管するクセをつけましょう。
セルフメディケーション税制とは
一年間の医療費が10万円を超えなくても落ち込む必要はありません。
セルフメディケーション税制というものが利用できるかもしれないからです。
国税庁のホームページには次のよう記載されています。
健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、その年に特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。
https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/ocat2/ocat22/cid171.html
国はなんだか難しく表現するのが大好きですからね。
要は
一年間の医薬品代が一定金額を超えてたら所得税を減らすぜ!
ということです。
こちらの計算式は次のようになっています。
=実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額-保険金などで補填される金額-1万2千円
医薬品代が12,000円以上であれば利用できる制度ということですね。
注意しないといけないのは、対象になるのがスイッチOTC医薬品のみであるということです。
診療費や処方医薬品代は残念ながら含められません。
OTCとはOver The Counterの略であり、医師の処方箋が無くとも購入できる医薬品のことです。
このようなマークが目印になります。
医薬品がセルフメディケーション税制の対象かどうかはレシートでも確認することができます(国税庁サイト)。
対象者は本人だけでなく家族も含まれます。医療費控除のときと同じです。
領収書やレシートの保管期間は5年間です。
セルフメディケーション税制が適用されるためには、申告者が健康診断などを受けている必要があります。
細かい健診の適用については国税庁の「医療費控除とセルフメディケーション税制の違いについて」を確認してみてください。
基本的に勤務先で健診を受けていれば大丈夫です。
まとめるとこんな感じです。
- 健康診断を受けていて、一年分のOTC医薬品代が12,000円以上であれば利用できる
- 家族の分も合算できる
- 領収書の保管期間は5年間
医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらを選ぶべきか
それぞれの概要はわかりました。
次はどちらのほうが節税効果が高いかです。
医療費が10万円を超えなければセルフメディケーション税制一択です。考える必要ありません。
考えないといけないのはどちらも利用できる場合です。
はじめにそれぞれの上限金額を確認してみましょう。
医療費控除:最大200万円
セルフメディケーション税制:最大8万8000円
ここから言えることは、医療費控除額が8万8000円を超えるかどうかがポイントということです。
フローチャートにしてみましょう。
医療費控除額が8万8000円以上であれば医療費控除を利用します。
医療費控除額が8万8000円未満の場合はセルフメディケーション税制用の医療費(OTC医薬品代)を確認します。
OTC医薬品代控除額の方が大きければセルフメディケーション税制の方が節税効果が高いと言うことになります。
わからなければどちらも計算してみればいいだけです。
しっかりと情報をまとめていれば簡単に確認することができます。
いずれにせよ一年間の医療費をしっかり保管し、確定申告の前にまとめるのが前提になります。
めんどくさがらずに頑張りましょう。
まとめ
医療費控除とセルフメディケーション税制について解説しました。
確定申告の前に一年分の医療費をまとめ、どちらのほうが節税できるかチェックしてください。
医療費のまとめ方のコツはこちらで解説しています。
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繰り返しになりますが、控除のためには医療費の領収書が必要です。
去年は集めていなかったとしても、今年からは来年に向けて領収書を捨てずに保管するようにしましょう。