こんにちは、お金に詳しい産婦人科医5年目のDeppです。
前回はiDeCoのしくみについてお話ししました。
今回の内容に必要な説明もされているので、未読の方は目を通してからの方が理解が深まるかと思います。
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まとめ記事はこちら。
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iDeCoは国が作った制度であり、利用することは節税に直接つながります。
これを考えると活用しないわけにはいきません。
今回はiDeCoによって何がどう節税になるのかを、具体例を交えつつわかりやすく解説していきます。
iDeCoをまだ始めていない方や始めるつもりの方は是非読み進めてみてください。
この記事の内容
- iDeCoがなぜ節税に使えるのか
iDeCoの節税効果①:運用利益が非課税
iDeCoはざっくり言うと、老後のためのお金を自分でコツコツ貯めていくためのシステムです。
ただお金を貯めるのであれば貯金をしたり自分で投資信託を買ったりもできますが、注意しなければならないのは税金がかかるということです。
貯金用口座として私が以前おすすめしたあおぞら銀行BANK支店口座の金利は0.2%ですが、税引き後の金利は0.159%です。(これでも十分高いですが)
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個人年金保険の場合も、実際に年金を受け取る際は税金が引かれます。
投資信託を運用し、いざ売却するときも同様です。
預金による利益は利子所得、投資信託の売却による利益は譲渡所得として扱われ、いずれも所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%の税金が引かれます。 (復興特別所得税は2037年12月31日まで)
個人年金保険は一括で受け取る場合は一時所得、年金で受け取る場合は雑所得になり、決められた計算式によって所得税と住民税が引かれます。
要はお金が増えたら税金がかかるということです。
せっかくお金を増やせたのに税金で持ってかれてしまうのは切ないですね。
これに対し、iDeCoの場合は運用による利益が課税されません。
例えば30年間利率0.02%(SBI証券が取り扱うiDeCoの定期預金)で毎月1200円ずつ積み立てた場合、合計積立金額432万円に対し12,852円の利息が発生します。
通常なら2,611円の税金が引かれ手元に残るのは10,241円ですが、iDeCoであれば12,852円がまるまる入ります。(厳密には手数料などの諸経費が引かれるためもっと少ないです。)
といっても金額としてはかなりしょぼいです。30年運用してこれだけって…
改めて漫然と貯金をしてもお金が増えないことを実感させられます。
投資信託の場合を考えてみます。
投資信託はプロに様々な株の売買をしてもらい運用するものでしたね。
経済状況や手数料にもよりますが、少なく見積もって毎月1200円を30年間利率1%で運用したとしましょう。
この場合の利益は税金を引かれると559,203円ですが、iDeCoであれば701,767円になります。その差は142,564円です。
利率4%としたら利息はiDeCoなら3,595,036円、税金が引かれたら2,864,704円。その差は730,332円です。
実際長期の運用であれば利率4%は夢の話ではありません。
なんだか投資っぽくなってきましたね(笑)。
ここで言いたいのは、iDeCoを使えば運用したことで払うはずの税金をそのまま懐に入れることができるということです。
長期の運用を考えるのであれば、iDeCoは絶対に選択肢に入れるべきだと思います。
ちなみにNISAやつみたてNISAもiDeCoと同様で運用利益は非課税になります。
iDeCoの節税効果②:掛金がそのまま控除
iDeCoには他の節税効果があります。
iDeCoは加入者によって使える金額(掛金)の上限が決められています。
私の場合は144,000円なので、毎月12,000円ずつiDeCoに投資(拠出)しています。
この掛金はまるまる所得控除になってくれます。(所得控除についてはこちらで説明しています。)
具体的な例を考えてみましょう。
所得から所得控除を引かれたものが課税所得であり、課税所得に対して所得税と住民税がかかるのでしたね。
課税所得が1000万円だった場合、所得税は33%、住民税は10%なので430,000円の税金がかかります。
iDeCoで年間144,000円拠出した場合、課税所得からさらにこの金額が控除され、税金は4,238,080円になります。約3万8000円の節税です。
あまりインパクトがないように感じるかもしれませんが、30年だと約114万円も節税できることになります。
何もしなければなくなるはずの114万円。小さい金額ではないですよね?
これはiDeCoを利用することで受けられる控除なので、「投資は怖いから定期預金にする!」という人でももちろん適応されます。こう考えると普通の銀行に預けるよりも結果的にはプラスになることがわかります。
節税のための選択肢はあまり多くない以上、iDeCoをつかないわけにはいきませんね。
iDeCoの節税効果③:受け取るときの税制優遇
iDeCoの運用は原則60歳までしかできません。
60歳以上になったら70歳までに運用した資金を「老年給付金」というかたちで受け取る必要があります。
残念ながらここは課税の対象になってしまいます。
また、普通の預金や投資信託と違い、掛金全体が課税の対象になります。元本(1,2000円/月×30年なら432万)+利益の全体が課税されるということです。
しかし、控除をうまく利用すれば税金を抑えるか0にすることもできます。
税金の計算は一時金(一括)で受け取るか年金形式で受け取るかによって変わります。
計算や考え方が複雑であり、人によってどの方法がよいかも異なるため簡単にだけ説明します。
一時金で受け取る
一時金として受け取る場合は「退職所得」という扱いになり、「退職所得控除」の対象になります。
退職所得控除額は次のように計算されます。
勤務年数とは同じ会社に勤務した期間のことを指しますが、iDeCoに加入していた期間も含まれます。より長い方が適応されるので、仮にiDeCoを30歳から利用すれば、1500万円の控除を受けることができます。
会社から受け取った退職一時金も合算し、退職所得控除額を引いた金額の2分の1が課税の対象になります。
ちょっとわかりづらいので例で考えてみましょう。
30歳から毎月12,000円ずつiDeCoに拠出したとします。投資信託で利率約4%で運用できたとすると元本は432万円、利息が360万円で合計792万円になりました。
退職金控除額を計算すると800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円になります。
よって課税される金額は792万円-1500万円=-708万円です。
マイナスなので課税はされません。税金は0です。
他に退職金を受け取るのであれば708万円までは非課税であり、超えた分の半分の金額が課税の対象になるということです。
年金形式で受け取る
年金形式で受け取る場合は「雑所得」という扱いになり、「公的年金掛金控除」の対象になります。
計算方法は割愛しますが、65歳未満なら年間70万円、65才以上なら年間120万円までが非課税になります。
計算する際は国民年金や厚生年金なども合算する必要があります。
所得が多くなると国民年金保険料や介護保険料が高くなるため注意が必要です。
どっちを選択するべきか
個人差があるので「絶対これ!」というものは残念ながらありません。
ただし、医師に関しては一時金の方がいい気がします。
幸か不幸か、医師は退職金をあまりもらえないみたいです。そもそももらえないケースもよくあるみたいです。
特に勤務先がちょくちょく変わる場合はそのたびに退職金はリセットされます。
これを考えると先ほどの例の709万円を超えることはなさそうなので、退職金控除をフルに活かすことができると思います。
そのためには勤務年数を長くする、すなわちいかに早くiDeCoに加入するかが重要になってきます。
加入年数は繰り上げ方式なので、29年1か月でも30年加入したことになります。
控除額を確保するためにも早めに動き始めましょう。
ちなみに金融機関によっては一時金と年金形式のどちらも選択できる制度があるみたいです。
それも考慮したうえで自分に合った受け取り方法を見極めてください。
まとめ
iDeCoの節税の内容について詳しくお話ししました。
私はSBI証券で2018年2月からiDeCoを始めており、うまく節税できていると思っています。
iDeCoは申し込んでから運用開始までに意外と時間がかかり、ゆっくりしていると大切な節税のチャンスを逃すことになります。
是非検討してみてください。