お金とふれあい始める〜給与明細の読み方:後編〜

こんにちは、産婦人科医5年目のDeppです。

 

前回は給与明細の読み方(読影方法)についてお話しを始めました。

まだ読んでいない方は先にこちらに目を通してください。

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今回はその続きになります。

「目に見えない何かの陰謀」を読影していきましょう。

社会人になりたての方の参考にもなるかと思いますので、興味があったら是非読み進めてみてください。

この記事の内容

  • 給与明細の読み方をわかりやすく解説

控除に隠された見慣れない「所見」

前回の給与明細です。

「控除」の欄には何やら小難しそうな項目が含まれています。

読んだだけでは意味がよくわかりません。

前回も話しましたが、所見がわからなければ診断はつけられません。

一つずつ確認して読影のスキルを習得していきましょう。

税金と社会保険

ここにある項目はずばり「税金」と「社会保険」です。

難しい話は抜きにして、簡単に理解できれば十分です。

なるべく簡潔に説明していきます。

税金

税金は知っていますよね。

私たちが国や市町村などに払っているお金のことです。

一番身近にある税金は消費税でしょう。

給与明細明細で関係してくる税金には「所得税」と「住民税」があります。

納税は国民の義務であり、脱税にならないように企業は給料から税金を天引きしてくれています。

所得税

文字通り、所得に対してかかる税金です。(今は所得≒収入という認識で大丈夫です。)

払う相手は国であり、給料や扶養家族(養ってる家族)の人数などによって金額が決まります。

所得税は1/1から12/31までに支給された給料に対して発生し、その年のうちに支払われるシステムです。

毎月の給料から概算されて控除されます。

払いすぎた分や足りない分は年末に行われる「年末調整」で調整され、還付されたり徴収されたりします(確定申告の場合は自分で申請する必要があります)。

住民税

こちらも収入に対してかかる税金ですが、国ではなく自分が住んでいる地域に払うものです。

所得税と違いは、前年の収入に対して課税されるということです。

つまり社会人1年目は(前年の所得が0円のため)徴収されません。逆に退職翌年は(所得がなくても)前年分が徴収されます。

企業が天引きしてくれることがほとんどですが、私たちのように勤務先が点々とする場合は毎年6月ごろに支払い用紙が家に届きます(私も今はそうです)。

所得税と異なり前年の収入が確定してから税額が決定するため、年末調整は関係しません。

社会保険料

続いて社会保険料です。

税金と比べると少し身構えてしまいますが、意味が分かれば難しいものではありません。

そもそも保険とは、何かがあったときに助けてくれる制度です。

生命保険などは任意で加入できますが、労働者に加入が義務付けられている保険(社会保険)はあらかじめ給料から天引きされているのです。

例の項目に加えて介護保険料と労災保険料もあります。これらも含めて簡単に説明していきます。

健康保険 [共済掛金(短)]

一つ目は健康保険です。健保と言ったりもします。

例では共済掛金(短)と書かれていますが、これは企業が共済組合かどうかで決まります。

公務員や大学病院勤務の場合はそれぞれの共済組合員になります。給与明細を読影するうえでは

健康保険=共済組合(短)

と思っていただいて構いません。

健康保険料を支払うことで、私たちが病院を受診した際の医療費は3割で済みます(70歳未満の場合)。健康保険料は企業が半分負担してくれています。

扶養家族がいれば、その家族の保険料も包括されます。

国民皆保険の恩恵ですが、それにより国の医療費がどんどん膨らんでいるのも事実です。いつまでもつのか…研修医のみなさんはなるべく不要な検査は避けるにしましょう!

厚生年金 [共済掛金(長)]

二つ目は厚生年金です。

健康保険と同様で、

厚生年金=共済掛金(長)

と認識しておけば大丈夫です。

ご存じの通り年金とは老後にもらえるお金のことです。

年金を支払っていれば原則65歳から年金を受け取ることができます。

年金には国民年金(基礎年金)と厚生年金があり(厳密には他にもありますがそれはまた別の機会で説明します)、会社員は支払いが義務付けられています。健康保険料と同様に企業が半分負担してくれています。

厚生年金が天引きされていれば国民年金も支払われているため、国民年金の項目がなくても支払っていないことにはなりません。安心してください。

ちなみに私たちが支払っている年金はそのまま私たちに戻ってくるわけではありません。今私たちが払っている年金は、現在年金を受け取っている方々に支払われています。

私たちが65歳以上になったときはその頃の若い世代が年金を負担することになり、これが年金が減るのではないかと危惧されている原因です。

これを何とかするために国が作ったのが個人型確定拠出年金制度(ideco)です。

雇用保険

三つ目は雇用保険です。

企業が倒産した時も含め、失業した場合に一定期間給付金を受け取ることができます。育休の際に受け取る育児休業給付金もここに含まれます。

失業者の生活の安定化を図ることが目的であり、支払いが義務付けられています。

あまり関係ないと思ってしまうかもしれませんが、知らないと失業したときや育休をとるときに困ってしまいます。こういう制度があるということはしっかり押さえておきましょう。

介護保険

四つ目は介護保険です。

これは40歳以上になると支払いが発生する保険で、40歳未満であれば給料から天引きされることはありません。

介護が必要になった際に、介護のための負担を軽減するための制度です。

条件によって40歳以降からこの制度を利用することができます。

まだ先のことかもしれませんが、存在は知っておきましょう。

労災保険

最後は労災保険です。いわゆる労災ですね。

これは企業側に加入が義務付けられている社会保険であり、業務上や通勤時に発生したケガや病気に対して支払われる保険です。

業務が原因でケガをしても、企業が知らんぷりしないための制度ですね。

私たちの給料から労災保険料がひかれることはありませんが、社会保険の一種なので一応説明しました。

まとめ

目に見えない何かの陰謀の正体はつかめましたか?

簡単にまとめると

  • 所得税:収入に対してかかり、国に払う税金
  • 住民税:収入に対してかかり、地域の払う税金
  • 健康保険:医療費を3割にするための保険
  • 厚生年金:将来年金をもらうための保険
  • 雇用保険:失業時や育休のための保険
  • 介護保険:介護が必要になった時の保険
  • 労災保険:仕事中にケガをした場合の保険

ということになります。

前回の記事とあわせれば、これで給与明細の読影は最低限マスターできたはずです。

それぞれの金額がどのように決まっているかを無理に知る必要ありません。それは放射線科の先生に任せましょう。研修医レベルの読影ができれば十分です。

今回学んだことは、ほとんどの医者がやらなければならない確定申告の際に必ず役立ちます。是非頭に入れておいてください。

お金とふれあうことの敷居を低くして、今後も関係を深めていきましょう。